【士魂商才】ROTARY WORD April.2016

2016年4月11日

RI会長からのメッセージ

K.R. ラビンドラン
2015-16年度会長

何年も前に、私はインドのコルカタでマザー・テレサにお会いしました。人徳が高く、彼女が通りを歩けば「十戒」の紅海のように群集が割れる偉大な方でした。しかし、会話の中で彼女の功績に触れても、ほとんど関心を示さないほど謙虚な人柄の持ち主でした。事実、彼女が達成した最も偉大なことは何かと聞かれても、「私はトイレ掃除のエキスパートです」と答えたということが、多くの報告に残されています。

この答えにはユーモアがありながら、極めて厳粛な重みがあります。彼女の仕事は他者を気遣うことであり、トイレが汚れていたから彼女は掃除しました。取るに足らない仕事です。しかし、助けを必要とする人に救いの手を差し伸べる彼女の活動に勝るものや、より重要なものなど、この世には存在しません。

ある日、きれいに身なりを整えた男がコルカタの彼女のもとを訪れたとき、玄関口の修道女たちは、彼女が裏手でトイレ掃除をしていると答えました。修道女たちが指し示す方へと進むと、はたしてそこには本当にトイレを磨いているマザー・テレサがいたのです。彼女は、男がボランティアをしにきたと思ったのでしょう。こんにちはと言うと、ブラシの持ち方や水を無駄にしない方法を説明し始め、ブラシを男に手渡すと、そこを立ち去ってしまいました。上等な服の男を一人、トイレに残して。

その後、男がまた彼女の前に現れ、「掃除が終わりました。あなたとお話してもよろしいですか」と尋ねました。「もちろんです」との返答を受けると、彼はポケットから封筒を取り出し、次のように言いました。「マザー・テレサ、私は航空会社の責任者です。ここに貴方のチケットがあります。自らの手でお渡ししたかったので」

彼は、残りの半生を通じて、何度もその体験談を人びとに話しました。このトイレ掃除の20分間は、それまでに経験したことがない最上の喜びを彼にもたらしたそうです。それは、マザー・テレサの仕事に手を貸し、その一部となれたからです。この20分間、マザー・テレサがそうするように、彼は自らの手で、額に汗して病める者たちのケアを行いました。

このような機会は、まさにロータリーで得られるものです。彼女のように人生、家、家族のすべてを捧げることは難しいかもしれません。しかし、年に20分、20時間、20日であれば、私たちも彼女のようになれるのです。

私たちは、人がやらないような仕事でも、自らの手で誠心誠意、額に汗して取り組むことができます。そうすることが、この世で最も意義ある活動だと知っているからです。

(掲載:博多イブニングロータリクラブ 森島潔)


 

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